泉州タオルをつくる

「泉州タオル 大阪タオル工業組合」の事業者をはじめ、泉州タオルづくりに携わる人々をシリーズで紹介します。
現場からの声を通じて、泉州タオルの歴史や技術、つくり手たちの想いやこだわりを伝えていきます。


株式会社ウエノ
専務取締役 上野智行

泉州タオルを守り継いでいくためには、
大胆なチャレンジを続けていくことが大切。

日本タオル誕生から130年。泉州の地でタオルをつくり続けてきた先人たちが築き上げた「優れた品質」「卓越した技術とノウハウ」「培ってきた信頼と実績」。それらの恩恵によって、地場産業である泉州タオルが支えられているといっても過言ではありません。しかし同時に、10年、20年先のレンジで捉えてみると、解決すべき課題が山積されているという実感も持っています。インターネット普及によるライフスタイルの多様化や市場のグローバル化をはじめ、IT企業を中心とする世界規模でのイノベーションなど、時代の大きな転換期を迎える現在において、タオル業界もまた変化、あるいは進化しなければならない段階に入ってきています。品質が良いのはもちろん、どのような人が、どのような生活を求め、そこで本当に必要とされる商品やサービスとは何か、それを、どのように生み出し届けていくか。限りなくニーズの細分化を試み、「個」にフォーカスを当て、よりダイナミックでユニークなアプローチを実践していかなければならない。130年間続いた泉州タオルブランドの「さらに先にあるもの」を掴み取ることが、私自身のテーマですね。

ウエノ株式会社では、新たなブランド「UENO」をスタートさせました。永い時を経て、受け継がれ、変化を続けてきた日本の歴史文化、伝統の業や様式美を、今の時代に捉え直し、そこから導き出される生活のアイデアを「新しいカタチ」で提案していきます。UENOは、タオルづくりにとどまらず、衣・食・住に関するあらゆるフィールドに可能性を見出し、他分野の方々とのコラボレーションをはじめ、異業種間のネットワーク、ビジネスモデルづくりを行うプラットフォームとして機能させたいと考えています。

私自身が最も大切にしているのは「人脈」。この仕事の就いてまだまだ若輩者ですが、業界の先輩方、ビジネスパートナー、各分野のスペシャリストやクリエイターの方々など、さまざまな人たちからアドバイスやヒントをいただいてきました。その一つひとつが、今の自分を突き動かす原動力となっています。これからは、お世話になった方々へお返ししていかなければならない。そのためには、人々に影響を与えることができるモノやコトを生み出し、たくさんの人たちとの交流を深め、「面白いこと」「楽しいこと」「新しいこと」を一緒に共有できる仲間づくりに取り組んでいきたいと思っています。