泉州タオルをつくる
「泉州タオル 大阪タオル工業組合」の事業者をはじめ、泉州タオルづくりに携わる人々をシリーズで紹介します。
現場からの声を通じて、泉州タオルの歴史や技術、つくり手たちの想いやこだわりを伝えていきます。
竹利タオル有限会社
代表取締役 竹本利弘
時代の波をキャッチし、
泉州タオルの新たな地平を切り拓いていく。
泉州タオルの独自性は、後ざらし製法です。綿糸に強度をもたせるための「サイジング=糊付け」を施した後、織機にかけてタオルを織り上げていきます。晒しの工程では、まずサイジングによって生地に付着した糊を、きれいさっぱりと洗い流す「糊抜き」。そして、綿糸がもっている油脂分、蝋質などを徹底的に落とす「精錬」をおこないます。さらに、落としきれなかった綿糸の色素不純物を取り除き、天然の白さを引き出す「漂白」。カラータオルの場合は、漂白によって染料が染み込みやすくなった生地に「染色」をします。このような一連の工程を経て生み出される泉州タオルは、。定評をいただいている吸水性は勿論、清潔さという点でも優位性が高く、赤ちゃんや子どもに優しいタオルだと言えます。
私たち「竹利タオル」のポリシーは、暮らしに溶け込んでいくタオルづくり。見た目やデザインも大切ですが、やはり、毎日使っていただいて、しっかりと使い心地を評価していただくことが、なによりも喜びにつながっています。それは、130年の歴史を育み、技術を磨き上げてきた先人たちの想いであり、創意の源ではないでしょうか。「本当にいいタオルとは何か?」を問い続けていくことが、先人への感謝の気持ちであり、私たちのタオルづくりへの原動力であると考えています。
近年では、贈答品という文化が希薄になってきています。これからは、自分たちに必要なものは、自分たちの基準で選んでいく時代。エンドユーザーに対して、どのよう情報発信をしていくか、あるいは、どのような販路でお届けしていくか。さらに、少子高齢化を迎え、国内需要だけではなく、海外にも視野を広げていかなければならない。さまざまな課題はありますが、泉州タオルは、まちがいなく世界に通用する価値を備えていると自負しています。産地全体が一丸となり、後継者である若い世代がアイデアを持ち寄り、斬新な仕組みづくりにチャレンジしていけば、必ず地平を切り拓いていけると信じています。130年という歴史の節目を、新しい幕開けと捉え、泉州タオルの発展に努力を尽くしていきたいと思います。