泉州タオルをつくる
「泉州タオル 大阪タオル工業組合」の事業者をはじめ、泉州タオルづくりに携わる人々をシリーズで紹介します。
現場からの声を通じて、泉州タオルの歴史や技術、つくり手たちの想いやこだわりを伝えていきます。
袋谷タオル合資会社
袋谷謙治
新しいアイデアや試みは、
人と人のつながりから生まれてくる。
「袋谷タオル」では、ジャガード織機で織り上げた生地を、泉州タオルの「後ざらし」によって仕上げていくという製法でタオルをつくります。昭和37年頃に先代が、ジャガード織機によって会社名や旅館名を織り込む「袋織タオル」を開発しました。着物の帯に袋帯というものがありますが、織りの様式が似ていることから名付けられたと聞いています。私は、学生時代から絵を描いたり、ものづくりが好きだったこともあって、デザインやクリエイティブが求められる社風にフィットしていたと思います。仕事に就いて20年以上が経ちますが、その間に、ジャガード織機、コンピュータともに進化し、多様な表現が可能となりました。細やかなニーズを捉えて、新しい提案をしていく環境が整ってきたのではないかと実感しています。
ファクトリーブランドとして立ち上げた「雫〜SHIZUKU〜」は、泉州地域の特産である「水なす」「泉州たまねぎ」「松波キャベツ」「彩誉にんじん」など、新鮮な野菜の実や皮から抽出した天然染料で染め上げたタオル。地場産業である農業と泉州タオルをコラボレーションさせる取り組みです。業種間の垣根を超えて、一緒にアイデアを出し合いながら、新しい価値を生み出していくことは、とても刺激的で楽しいですね。このようなアプローチを通じて、泉州地域の素晴らしさが全国に広がる機会へとつながってほしいと考えています。
泉州タオルが誕生して130年を迎え、産地にも大きな時代の変化が訪れています。長年続いてきたギフト需要から、生活者が自分たちのライフスタイルに見合ったタオルを選択する時代。メーカーに対しても個性的かつ独自性が要求されています。これまでの生産の仕組みを変えたり、研究開発や市場開拓に力を注いでいかなくてはなりません。泉州タオルには、先人たちから受け継いだ、世界に誇るべき技術とノウハウがあります。この恵まれた資産をフルに活かしながら、積極的に新しい試みを実践し、その先にあるオリジナリティを模索し続けていきたいと思います。