泉州タオルをつくる

「泉州タオル 大阪タオル工業組合」の事業者をはじめ、泉州タオルづくりに携わる人々をシリーズで紹介します。
現場からの声を通じて、泉州タオルの歴史や技術、つくり手たちの想いやこだわりを伝えていきます。


ろ七タオル株式会社
代表 田端純一郎

「真摯なものづくり」を貫き、
 泉州タオルを次代へと導いていきたい。

日本タオルが誕生して130年。長い歴史の中で泉州タオルは、さまざまな変遷たどりながら、泉州を代表する地場産業として発展を遂げてきました。130年前に先人たちが創り上げた国産タオル製造の基盤。その情熱や苦難のエピソードは、文献あるいは口伝でしか知ることができませんが、私は、その歴史の一端を原風景として記憶に留めています。ろ七タオル株式会社は、創業から約80年。泉佐野市元町に実家と工場がありました。その辺りは、地元で「タオル銀座」などと呼ばれるほど、タオル製造業者が軒を連ねており、日本タオルの始祖である里井圓治郎氏が設立した里井タオルと当社は、お隣同士の関係。ですから、物心がついた頃から、日本タオル発祥の地で生まれ育ったという自覚が染み付いていると同時に、偉大な功績に対する畏敬の念を強く抱いています。

ろ七タオル株式会社は「業務用タオル」に特化したメーカーです。宿泊施設や医療、理美容関係で扱われるタオルなどを中心に製造しています。業務用タオルをつくる上で欠かすことができないクオリティとは「丈夫で長持ちすること」。幾度となく洗濯を繰り返しても、常に織り上げた状態のタオルをお客様に提供できるかどうかが優先されます。型崩れしない、糸抜けがしないことは勿論、手触りや風合いに至るまで一定にキープし続けなければなりません。そのためには、糸の選定から製織における豊富な経験値と高度な技術力が求められます。長い年月で培った、そのノウハウこそが、ろ七タオルの独自性であると自負しています。

当社では、有名ホテルのスイートルームで使われるタオルの製造も行っています。その品質を高く評価していただき、「オリジナル商品をつくらないのですか」という声を聞くことが多くなりました。ほとんど業務用タオルのみをつくり続けてきたので、一般家庭のニーズにマッチするかどうか半信半疑ではあったのですが、思案の末にリリースした商品が、エジプト産の超高級綿糸・ギザコットンを織り上げたタオル「ファラオシリーズ」と、泉州タオル事業者の中では、おそらく当社のみが製造を手掛けるバスマット「Kare sansui」 。いずれも、当社のノウハウを活かしきった「本物のホテルタイプ」といえるのではないでしょうか。おかげさまで、EC販売をはじめ、ふるさと納税の返礼品として、広く周知されることとなりました。私たちが向き合ってきた「真摯なものづくり」が、少しでも多くの人たちに伝わり、泉州タオルを次代へと導いていくための一助になれば幸いです。