泉州タオルをつくる

「泉州タオル 大阪タオル工業組合」の事業者をはじめ、泉州タオルづくりに携わる人々をシリーズで紹介します。
現場からの声を通じて、泉州タオルの歴史や技術、つくり手たちの想いやこだわりを伝えていきます。


甚野染工株式会社
代表取締役 甚野直嗣

みなさんの暮らしに溶け込み、
「愛されるタオル」を継承していきたい。

日本タオル発祥の地である泉州。その130年の歴史を支え続けてきた「後ざらし製法」は、先人たちのパイオニア精神を継承し、知恵と技術を磨き上げることで結実しました。加えて、山と海に囲まれた温暖な気候、大阪の貿易拠点に近いという地の利。とりわけ和泉山脈がもたらす地下水に恵まれていることは、大きなアドバンテージと言えます。泉州タオルの「晒し」「染色」の工程には、この地下からの良質な軟水を使っています。これにより、染料との相性が良く、美しい発色で染め上げることができるのです。

泉州タオルにとって最大の特徴である後ざらしを守り継いでいくことは、私たちに託された使命だと感じています。そのためには、地場のタオルメーカーと連携し合い、一緒になって「本当にいいタオルとは何か」を追求し続けることが大切です。歴史が育んできた経験と実績を活かしきり、さらに新しいアイデアを持ち寄って、未来につながっていく基盤を築いていきたいですね。

後ざらしタオルは、吸水性が高く、清潔で、優しい風合い。暮らしの中で使って実感していただいています。「当たり前のように使っていたら泉州タオルだった」という声をよく耳にします。暮らしに溶け込み、みなさんに愛されるタオル。その「信頼」を、しっかりと心に刻み、泉州タオルの10年、100年後を見据えて、一歩一歩、努力を尽くしていきたいと考えています。